ESSAYかぐらびと

寄り道が楽しくなるプリン専門店 | ACHO kagurazaka

2025.02.21

神楽坂の路地裏にひっそりと佇むプリン専門店「ACHO」。
“思わず誰かに贈りたくなるプリン”は、一口食べれば心までとろけるなめらかさとコク。
今回は店主の富永さんに、開店までの経緯、プリンにかける情熱、そして今後の展望などについてお話を伺いました。

ACHO kagurazaka オーナー
富永 合子 Tominaga Aiko

明るく朗らかな人柄で、周りの人を自然と笑顔にする富永さん。
大切にしているのは、人とのつながりや、その土地ならではの空気感。旅先では、地元の暮らしが感じられるお店を巡り、人との触れ合いや新しい発見を楽しんでいます。そんな心躍る瞬間から得たインスピレーションを、「ACHO」の小さなお菓子に込めています。


静岡のカフェから神楽坂のプリン専門店へ

お店を始めたきっかけを教えてください。
「もともと2001年に静岡県島田市で、ランチやケーキなどを提供するカフェを営んでいました。結婚を機に、洋菓子店で修業していた経験のある夫と一緒にお店を続け、2013年に神楽坂でお持ち帰り専門の菓子店として再スタートを切りました。」
笑顔の先にいるのは旦那様。素敵なご夫婦です!
神楽坂に開店したきっかけは?
「神楽坂は夫が生まれ育ったまちなんです。神楽坂って個性的な個人商店が多くて、人情が残る素敵なまちですよね。自分たちのお菓子をもっとたくさんの人に届けたいと思ったときに、神楽坂なら挑戦できるって自然に思えたんです。私自身、東京で暮らしていた時期もあって、神楽坂にはもともと親しみがあったので、ここでお店を開くことに迷いはありませんでした。」
“旅するお菓子”というコンセプトについてお聞かせください。
「お菓子って自分で食べるだけではなく、誰かに気持ちを伝える手段でもあると思うんです。たとえばお礼を言いたいときや、励ましたいとき。多くを語るのではなく、その人が大好きなお菓子をそっと渡す方が伝わることもあるなって。カフェをやっていた頃からずっと、お菓子を通じて人と人をつなぐことが出来たら素敵だと思っていましたが、神楽坂にお店を出したことで、より強く感じるようになりました。私たちのお菓子が、誰かの大切な瞬間を彩る存在になれたら嬉しいですね。」

季節が生む味わいを楽しむ

人気のプリンを教えてください。
「定番のカスタードプリンです。コクのある卵の風味と、なめらかな口当たりが特徴で、初めてのお客様にも“まずはこれを食べてほしい”と自信を持ってお勧めしています。」
「ACHO」のプリンはお皿に出して立つギリギリの柔らかさ
新メニューを作る際に意識なされていることは?
「素材の持つ個性をしっかり感じられるものにしたいので、プリンの味わいとバランスを見ながら、細かい調整をしています。例えば、夏は卵の味が瑞々しく軽やかで、冬は濃厚になる。そんな自然のゆらぎも最大限に生かしているプリンです。繊細な味のものには軽めのカラメル、しっかりした味のものには濃厚なカラメルと、プリンごとにカラメルの味も変えています。」
(左)爽やかなレモンソースの桃のプリン/(右)チョコバナナプリンはチョコの食感が残るミルクソース
おすすめの食べ方はありますか?
「お皿に出して味わっていただくと、カラメルが全体に絡んで、香りや味の変化をよりお楽しみいただけます。たとえば栗とヘーゼルナッツのプリン(OZ)や焼き芋のプリン(グランマ)。カップで食べると、上は軽やかでなめらか、下にいくにつれて濃厚になっていきますが、お皿に出すことで、プリンの層を立体的に味わっていただきやすくなります。」
(左)ラム酒がアクセントのOZ/(右)グランマはさつまいものほっくりした食感のプリン
パッケージにもこだわりを感じます。
「オープン当初からお付き合いのあるデザイナーさんと密に連携し、シンプルでありながら上品なデザインに仕上げています。特に意識しているのは、誰が持っても“心が弾む”パッケージにすること。実は「ACHO」は男性のお客様も多いんです。だから、甘すぎず親しみやすいデザインを心がけつつ、そこにちょっとだけ特別感を持たせています。」

お客様がつなぐおいしさのバトン

男性のお客様も多いのですか?
「ありがたいことに“ここのプリン、なんだかほっとするんだよね”って、仕事帰りにふらっと立ち寄ってくださる男性の方も多くて。シンプルだけど飽きのこない、ずっと愛されるお菓子を目指しているので、そういうお声をいただけるのは本当に励みになります。」
定番からお酒入りまで、いろいろ楽しめますものね。
「おかげさまで幅広いお客様にご来店いただいています。 “この前あげたらすごく喜ばれたから、また買いに来ました”なんてお声をかけていただくことも。誰かに贈るお菓子として選んでいただけるのは、本当に嬉しいですね。うちのプリンを食べられた方が、ご友人にお勧めくださり、そこから新しいお客様がいらしてくださることもよくあります。「ACHO」のお菓子が、新しいご縁を生むきっかけになっていると感じます。」
(左)コニャック入りチョコレートプリンと、カルヴァドス入りカスタードプリン/(右)ぶどうが華やかに香るシャンパンフレーバープリン「ティアラ」

変わりゆく神楽坂で目指す未来

今後の展望について教えてください。
「神楽坂は魅力的なまちなので、もっとたくさんの人に訪れてもらえるように、お店を通じて貢献できたらと思っています。他の店舗様とも協力し、神楽坂の良さを発信していけたらな、と。「ACHO」としては、新商品の開発にも力を入れ、季節感を取り入れたプリンや焼き菓子など、長く愛されるお店づくりを続けていけたらと思っております。」
 
取材のさなかにもお客様がやってきては、プリンや焼き菓子、冬限定のチョコレートバーを購入されていきます。
笑顔で「これも追加で買っちゃお!」なんて微笑ましい姿もちらほら。
思わず自分を甘やかしたくなる魅力が「ACHO」のプリンにはありますよね。ささやかな幸せが詰まった「ACHO」は、これからも神楽坂のまちで小さな灯りをともし続けます。

今回、取材にご協力いただいたのは富永さん。
お店で会えたら「かぐらびと見ましたよ!」ってひと言、頼むな!

店舗情報

店名
ACHO kagurazaka
住所
〒162-0805 東京都新宿区矢来町103
営業時間
月~金
11:00 - 19:00

土日祝
11:00 - 18:00
定休日
毎週火曜日、第1第3水曜日
※公式サイトの営業カレンダーをご確認下さい。
駐車場
ページ
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この記事を書いた人

かぐらむら編集局

隠れた名店や話題の最新スポットを実際に訪れ、取材しています。神楽坂を知り尽くした編集局ならではの視点で、皆さまに新たな発見をお届けします!

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