ESSAYかぐらびと

牧場直営!繊細な口どけと旨味のブランド和牛 | ふらの和牛 よしうし 神楽坂通り

2025.10.22

「牧場直営店だからこそ、最高の部位を、最高のタイミングで提供できる。それが当店の強みです」

そう語るのは、『ふらの和牛 よしうし 神楽坂通り』の店長・小杉 毅さん。
北海道・富良野の谷口ファームグループが育て上げた“ふらの和牛”を最も美味しい瞬間に届ける――その想いを体現する直営店が、神楽坂にあります。

第27回かぐらびとでは、ふらの和牛の魅力をたっぷりと伺いました。 

ふらの和牛 よしうし 神楽坂通り 店長 ソムリエ
小杉 殻 Kosugi Takeshi

2022年に開店。谷口ファームグループによる“六次産業化”の取り組みの一環として、生産者自らが丹精込めて育てたブランド和牛を扱う直営店。A5ランクの最高品質を誇る“ふらの和牛”を厳選し、その旨味を最大限に引き出す多彩なメニューで提供している。「生産から提供まで、一貫して手がけるからこそ伝えられる味がある」という信念のもと、心からくつろげるひとときを届けている。


富良野発、“美味しい”を育てる物語

牧場直営の店舗でいらっしゃいますね。母体の牧場についてお聞かせください。
「1981年、わずか100頭の牛から私たちの牧場ははじまりました。1989年の法人化を経て、2004年に商標登録。現在では約1万頭を飼育しております。」 
どのような体制で運営されているのですか?
「ふらの和牛は、繁殖と育成の“ふらのファーム”、酪農の“びえい牧場”、黒毛和牛の肥育の“谷口ファーム”の3つの牧場で構成。他に交雑牛の肥育を行なっている“白樺牧場”がございます。それぞれが専門性を高めた循環型の経営体制です。」 
谷口ファーム
循環型と申しますと?
「牧場同士がバトンをつなぐように連携し、牛の成長段階に合わせて最も適した環境で育てていく仕組みを指します。」 
ふらの和牛のおいしさを支える、飼育環境づくりを教えてください。
「牛の健康を第一に、衛生管理を徹底しています。牛舎では温度や湿度の管理に加え、一頭一頭の状態を細やかに見守りながら記録し、ストレスなく穏やかに過ごせるよう環境を整えています。飼料は、大雪山系の雪解け水がもたらす恵みを、牧場独自の配合でブレンド。また、自社のデントコーン畑や地域で生産された粗飼料を活用し、近隣の畑作農家と連携した“地域循環型農業”にも取り組んでいます。」 

まちと共に歩み、育む美味しさ

2号店に神楽坂を選ばれた理由をお聞かせください。
「神楽坂は食に対して感度が高く、本質を見抜くお客様が多いまちです。ですので、素材そのものの美味しさを味わっていただく料理を提供するには最適な場所だと考え、出店を決めました。」 
出店されて印象は変わりましたか?
「外から見ていたときと、大きな違いはありませんでした。まち全体に品格があり、食に対する理解が深い方が多い。そのおかげで、神楽坂での営業を通じて、確かな手応えを感じ続けています。」
神楽坂まつりで屋台を出されていましたね。
「神楽坂は、人と人とのつながりを大切にするまちだと実感しています。私どもも商店会に加盟し、お祭りやイベントの際には屋台を出すなど、ただお店を構えるだけでなく、このまちの一員として、お客様や地域の皆さんとともに神楽坂を盛り上げていきたい──。そんな思いを胸に、日々の営業に励んでいます。」
 

旨みがひらく“だししゃぶ”の至福

ふらの和牛ならではの美味しさは、どんなところにあるのでしょう?
「口にした瞬間に感じるのは、脂の繊細な甘さと、上品な和牛香。赤身肉の濃厚な旨味と脂が舌の上で静かにほどけ、雪のようにふわっと消えていきます。余韻まで美しい――そんな味わいです。」 
2008年の洞爺湖サミットで、ふらの和牛が使われたそうですね。
「はい。G8総理夫人主催の昼食会と外国人記者団に提供され、その滋味が好評を博しました。以降も品質への追求を重ね、最高等級のふらの和牛を安定して生産できる体制を確立。2014年以降は毎年、農林水産大臣賞や全国肉用牛枝肉共励会優秀賞などを受賞しています。高品質な5等級を常に高い水準で生産し続ける――それが、私たち谷口ファームグループの誇りです。その想いを生産から食卓へとつなぐ架け橋として誕生したのが『よしうし』で、牧場直営ならではの強みを生かし、厳選した5等級の“ふらの和牛”を、最も美味しい瞬間にお届けしています。」
受賞トロフィーと賞状
その魅力を余すところなく味わえるのが“だししゃぶ”だとか。
「当店看板メニューです。大判サーロインをさっと炙り、自家製のかつおと昆布のだしにくぐらせてお召し上がりいただきます。このメニューでは、良質な霜降りの甘みと旨味をお楽しみいただけます。“澄んだ出汁と脂の甘みが互いを引き立て合い、すっと余韻だけを残す。その味の奥行きがたまらない”と語るお客様もいらっしゃいました。」 
はじめて食べる方は、さぞ驚かれるのではないでしょうか。
「そうですね。言葉を失い、箸を止めてそっと目を閉じたお客様の姿を拝見したとき、この仕事をしていて本当によかったと思いました。」 

ふらの和牛ブランドの挑戦

ブランドとして成長を続けるなかで、現場ではどのような変化や課題を感じていますか?
「やはり、気候変動の影響は無視できません。富良野は盆地のため、年々夏の暑さが厳しくなっています。牛たちが快適に過ごすための環境整備にかかるコストは上昇し、飼料価格も高騰しています。しかし、そうした環境の変化もチャンスと捉え、私たちは“持続可能な畜産”への取り組みをさらに強化しています。現在は牧場内にバイオガスプラントを導入し、飼育過程で出る副資源を再利用して再生可能エネルギーを生み出しているんです。自社で電気と熱をまかない、環境への負荷を抑えながら、より良い品質の肉づくりにつなげています。」
肉をめぐる嗜好の変化は感じますか?
「味わい方が多様化してきているように思います。ただ、その変化の中だからこそ、ふらの和牛の“脂の質”が支持されているとも感じております。『よしうし』では、この肉が持つ可能性を多くの方に感じていただけるよう、部位ごとの個性を丁寧に見極め、一番美味しい形でお出ししています。」 
【ランチ限定】ふらの和牛ペア御膳 5,500円 (税込)
海外でも和牛人気が高まっていると聞きます。
「和牛ならではの、きめ細やかな脂と旨み、口どけが、海外でも受け入れられているようです。実際に輸出量も伸びており、2019年と比べて2024年には2倍を超える規模に拡大しています。また、インバウンドで来日されたお客様が和牛を味わい、その体験を母国で広めてくださるケースもあります。そうした流れの中で、海外からわざわざ神楽坂店を訪れてくださるお客様もいらっしゃいました。」 
今後の展望について教えてください。
「季節に合わせたメニューの開発など、新たな展開を通じて、より多くの方に“ふらの和牛”の魅力を知っていただけるよう取り組んでいきたいと考えています。そして、神楽坂の皆さまと一緒に、北海道の味を通して、このまちを盛り上げていけたらと思っております。」 
ふらの和牛の生産から提供までを一貫して手がける谷口ファームグループでは、持続可能な畜産に向けた挑戦を続けています。この、常に未来を見据えた姿勢が“ふらの和牛”の価値を支えているともいえるのではないでしょうか。

牧場直営店『ふらの和牛 よしうし 神楽坂通り』は、このまちで確かな存在感を築きつつあります。 

今回、取材にご協力いただいたのは店長&ソムリエの小杉さん。
お店で会えたら「かぐらびと見ましたよ!」ってひと言、頼むな!

店舗情報

店名
ふらの和牛よしうし神楽坂通り
住所
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂5-32八潮ビル1階
営業時間
ランチ  12:00 - 14:30(土日祝のみ
ディナー 17:00 - 22:00(フードL.O 21:00/ドリンクL.O 21:30)
定休日
無休
駐車場
公式SNS
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この記事を書いた人

かぐらむら編集局

隠れた名店や話題の最新スポットを実際に訪れ、取材しています。神楽坂を知り尽くした編集局ならではの視点で、皆さまに新たな発見をお届けします!

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