「qivaco×Niwaki(キバコ×ニワキ)」 ー横寺町に、神楽坂の小さな庭が誕生ー |
神楽坂通りから朝日坂を上がって龍門禅寺を越えてほどなく。左の小路をひょいと覗くと、手書きの「花や」という文字が目に入ってきます。 看板の先に目をやると、夏の日差しを気持ちよさそうに浴びている植物たちが。 あれ? こんなところにお店があったっけ? それもそのはず、ここは5月にできたばかりの園芸店なのです。新店の冒険の第5回は「qivaco×Niwaki」を紹介いたします。 ひとの縁とは分からないもの。 植物を一生の仕事として選んだきっかけは、なんの気なしにはじめた、園芸店のアルバイトなのだというから驚きです。 いざ仕事で草花にたずさわってみると、植物の名前や育て方を、するすると覚えてしまえたという千歳さん。 「植物と相性が合うんです。365日、ずっと植物のことを考えていてもストレスにならない」 いなか育ちで草花とともに生活していたこともあって、自然の野山はもちろんのこと、気づけば庭園や植物園、展示会、植物を扱うショップ、鉢植え、切り花、ドライフラワーや植物のグッズと、植物に関わることなら何でもござれで大好きになっていたそうです。 その園芸店を家庭の事情で辞めざるを得なかったあとも、ボランティアで植物にたずさわったり、資格を取ったりと、常に植物には関わっていました。 ようやく私生活が落ち着いた千歳さんは、また植物を仕事にしたいと考えて、生花店の扉をくぐりました。そこでは店長として、仕入れから販売、アルバイトの教育など、店舗運営のすべてを取り仕切ることに。 「経営の勉強になりました」と、千歳さんは語ります。 千歳さんは生花店で充実した日々を過ごしていましたが、心の奥ではもっと仕事の幅を広げたいとも考えていました。 ついにフリーとなった千歳さんは、日本各地を飛び回り、やがてイギリスのフラワーショーや中国の庭園など、海外の仕事も請け負うようになったのです。 一方でお客さんと接することに喜びを感じてもいた千歳さんは、庭仕事だけではなく、ショー劇場での生花販売、芸能人のイメージに合わせた花束作り、マルシェ出店など、直接お客さんに植物を届ける仕事も続けていました。 そうして経験を積んで4年半、満を持して神楽坂にお店を持つことに。そんな千歳さんのお店ですから、qivacoでは生花や園芸、そして庭と、植物に関わるお仕事はなんでも行っているのです。 ジェイクさん(左から2番目)と、千歳さん(右から2番目)
偶然の出会い、Niwakiの社長ジェイクさん 少しでも時間ができれば、千歳さんは国内外の庭園や植物園や園芸店、そしてフラワーショーにも足を向けていました。 そんな千歳さんが、ロンドンで開催されている展示会、チェルシー・フラワー・ショーを見に行ったときのこと。日本の造園道具や刃物をイギリスで販売しているNiwakiに出会いました。そこでたまたま声をかけたひとが、なんとNiwakiの社長ジェイクさんだったのです。少し話しをしただけでも、ジェイクさんの人柄のよさや、植物への愛情が伝わってきました。きっとジェイクさんも同じだったのでしょう。盛り上がって意気投合したふたりは、折に触れて交流を持つようになりました。 こんな縁を積み重ねているうちに、いつしか千歳さんは、お店を持つならNiwakiの商品の魅力も広めたいと考えるようになっていたのです。 店の奥がNiwakiのショップ
Niwakiの木村有里さん
神楽坂は歴史と遊び心のまち 「神楽坂とも期せずしての縁なんです」、千歳さんはそう語ります。 実は、最初から神楽坂に出店を決めていたわけではなかったのだそうです。 歴史を重ねた風合いのある建物を探していたなかで、「これだ!」とピンと来たのが、神楽坂の古民家でした。 神楽坂は落ち着いていて歴史があって遊び心もある、人は優しく穏やかで緑を愛してくださる方が多い。だから神楽坂にお店を持ってよかったと、千歳さんは顔をほころばせました。 風を感じるお店にしたかった 季節のうつろいで落葉する樹木や草花が、特に好きな千歳さん。そういう場所には必ず気持ちのよい風が吹いている。だからここも、風がとおり抜けて緑をゆらす、そんなお店にしたいと考えました。 そうして、できる作業と持てる材料を使い、ひとりコツコツと作りはじめたのです。 「結局全部、庭仕事に通じるんですよね」 決まった道具で決まった仕事しかできないと、困る場面の多いのが庭仕事。その場にあるもので、臨機応変にお客さんが望むものを作って来た千歳さんにとって、自分の手仕事でお店を作るのは自然のことでした。 お店に差し込むやわらかい光、風と緑――。ふうっと肩の力が抜けるような居心地のよさは、千歳さんの思いが詰まっているからなのでしょうか。 インテリアではなく生活の一部として qivacoではまちの花屋さんやホームセンターに並んでいない苗ものや、原種に近いものを扱っています。
原種は育てるのが大変とお考えのあなた、実は逆なのだそうです。 初心者の方でも臆することなく育てられる植物、インテリアではなく生活の一部として愛情を注げるような植物を、こだわって選び抜いてお店に並べています。 いまの季節のおススメは センテッドゼラニウムを中心としたハーブ類 ゼラニウムは暑さに強いので外に出しっぱなしでよく、水やりも頻繁ではないので手間いらず。おまけに香りもよいハーブなのです。 ゼラニウムだけでも10種類ほど置いてありますが、この品揃えは他ではなかなか見られませんよ。 地球に優しいサステナブルなルーツポーチ! リサイクルペットボトルとリサイクル天然素材で作られた、通気性や透水性がよい不織布製の植木鉢(ルーツポーチ)もおススメです。持ち手が付いていて運びやすく、使わないときはたたんでおける優れもの。色やサイズを取り揃えているので、これを機会に使ってみてはいかがでしょうか。 作りが可愛くて欲しくなっちゃう! 世界各国で集めた植物に関する パンフレットやカード(購入可) 風がぬけて緑がゆれる――。
そんな居心地の良い神楽坂の小さな庭で、一緒に暮らす植物を見つけてみませんか? |
■DATA 住所:東京都新宿区横寺町36 ☎︎:03-6873-5373 営業時間:9:00〜19:00 定休日:不定休 |