7月26日(日)神楽坂セッションハウスにて、バレエ・ダンサー岩沢 彩さんのソロダンス『live』を観劇。Dzoneフェスティバル2020参加作品。コロナ感染症対策のため、これまで公演と無観客ライヴの配信という二本立てで運営されてきたセッション公演ですが、映像技術、配信技術に手ごたえを得て、今回は初の本公演同時ライヴ配信...に挑戦されています。会場での観客対応も、マスク着用はもちろんのこと、検温や手指消毒にフェイスシールドや手袋などを加え、公演中も出入口の扉を開放したままにするなど、とうていクラスター発生が起こるとは思えないベストの態勢が敷かれているのにも共感。ソロダンス『live』は、深紅の衣装に身を包んだ岩沢さんが、バレエの技法や動きのボキャブラリーに、パントマイムのように雄弁な手指の動き、小さな椅子をパートナーにして踊る動きなどを加え、場面ごとに細密に踊りを構成していった作品。場面によって動きを止めながら形の美しさを見せていくダンスと、連続技を決めながら動きのある場面を作っていくダンスに大きく分かれていたように思います。空間をブルーとオレンジとグリーンで染めわけるなど、照明による演出が独自の原色の世界を作っていて、死や性にまつわる奇怪な要素はないものの、まるでピーター・グリーナウェイの映画を見るようでした。おそらくヨーロッパ的なゴシック感が身体の美と結びついた美的センスということではないかと思います。複数のカメラを用意した映像配信では、ダンサーの身体が間近からも捉えられることから、踊りの内容がよくわかることと、公演の現場では、たった一度だけ、一対一対応で踊られていくダンスの瞬間を積み重ねていく体験が、すでに完結した作品として構造的な側面をあらわしてくるところに大きな違いを感じました。公演現場にいるとは、ダンスの内側にいるということなのではないかと思います。複数のカメラを使用した映像で気になったのは、特に白色系のものに顕著でしたが、角度によって照明の色が異なって映し出され、その結果ダンスの印象も異なることから、ひとつの世界が複数化していくことでした。カメラの数だけ世界があるというような。フレーム機能を使ったマジック効果という、これまでの無観客ライヴ配信で利用されてきた技法とまた違う映像体験でした。■
☞ 7月26日(日)17:30~ セッション・オンライン劇場
岩沢 彩『live』
https://www.youtube.com/watch?v=8RMX4wFXdsM
[公演日より2週間の限定公開。投げ銭方式での運営。ご視聴の際にはぜひこちらにもご協力ください。]