鮨屋×落語のスペシャルコラボ “いきな寄席” 




 
3番目に登場いただくのは江戸前鮨の「八千代鮨」さんです。

昭和44年に神楽坂へ移転して50年。昭和から平成、そして令和と神楽坂の歴史を知る老舗のお鮨屋さんです。
今回は神楽坂に生まれ育ち、2代目として20年以上お店に立ち続けている齋藤幸伸さんにお話を伺いました。
時代と共に神楽坂がどのように変わっていったのか、そして今回のまち飛びで落語とコラボレーションするに至った経緯などを語っていただきました。




江戸前のこだわりの鮨屋

創業は昭和32年なのですが、神楽坂に来たのは昭和44年。移ってから50年を迎えます。
江戸前というのを大事にしてネタにこだわりつづけています。
季節によってネタは変わるので、季節感を大事にしながら鮨ダネは常時30種類くらいご用意しています。
その中で一番のおススメはアナゴです。            



創業から62年、家庭的な雰囲気を大事に

父が創業して私が2代目としてやっていますが、今も息子とカミさんと家族で営んでいるのもあって、
家庭的な雰囲気を大事にしています。それはこれからも大切にしていきたいです。


 

八千代鮨を支えている親子3代。
写真左がインタビューに答えてくれた2代目。
脈々と歴史は受け継がれている。


 
昔は花街。今は観光客が来る賑やかなまち

昔は花柳界という芸者さんのまちだったんですよ。
昭和40年代というのは、当時新旧の入れ替わりがあった年代で創業したお店が多かったんです。
その流れに乗って八千代鮨も移転しました。あとは昭和60年代から平成にかけては表通りがバブルの潮流に乗ってビルに変わりました。ただ、見た目は変わってもお店は残っていましたね。

さらに大きな変化が起きたのは2007年に放送されたドラマ 「拝啓、父上様(フジテレビ)」。
これによって観光客が増えました。以前、神楽坂の路地裏は芸者さんのお店=一見さんお断り。というのが多くて一般客が気軽に入れるお店じゃなかったのですが、これを機に新しい飲食店が増えていきました。



父から受け継ぎ私の代へ

創業者の父が群馬出身なのですが、当時は18~19歳になると働きに出ていたんです。
そこで目黒のだるま鮨さんに修行に入ったんですね。4年修行して一人前と認められたのちに調理師会に所属してそこから派遣されるんです。その派遣先が文京区音羽にあった八千代鮨でした。
                       
お店から依頼があって板前として入ったのですが、昭和32年にオーナーがやめるということで父が買い取り、そこが創業となります。
昭和35年に父と母の結婚を機に榎町に移転しました。そして道路の拡幅により立ち退きがあって、昭和44年、神楽坂に移ってきて現在に至ります。



 

創業時の父(写真左)と
神楽坂に移転当時(写真右)
家庭的な雰囲気は昔も今も変わらない。
 
 
“いきな寄席“の名前の由来は

まち飛びフェスタでは、落語家の「台所おさん」師匠をお招きして落語会「いきな寄席」を開催します。
2階を寄席にして1時間半ほど落語を鑑賞いただいて、その後師匠を囲んでお酒や食事をしながら楽しんでいただくという、鮨屋だからこそできる企画となっております。

実は30年くらい前にお客様から「お店で寄席をやれないか」と相談があったんです。
「台所おさん」の師匠で柳家花緑さんがまだ真打になる前で、その人の寄席をつくりたかったのですがタイミングが合わなかったんです。
でも最近、バーで若手落語家による寄席をやったのですがとても好評だったので、それだったらウチでもやりたいと思いました。30年越しでもう一度そのお客様に相談したんです。
すると、「おさん師匠」が花緑師匠の弟子ということでしたので紹介していただきました。そこから名前を検討することになったので、粋なまちである神楽坂の「粋」と寿司屋の「活」魚をかけて「いき(粋・活き)な寄席」という名前になりました。



鮨屋ならではの味わい

台所「おさん師匠」は、玄人好みする正統派の古典落語を得意とする噺家ですが、落語が初めての方でも聴きやすいお噺になっています。 
その後は先述の通り、師匠を囲んで食事やお酒を楽しめるので鮨屋ならではのものを味わうことができます。



地域とのコミュニケーションを大事にしたい

まちの繁栄にもいろいろな山があったんですが、このまちは適応力がありますよね。時代や客層が変わっても順応している。
今も人が多く賑やかでお店の空きもないですし。さらに外国人観光客も増えていることから、変化に適応し続けている街だなと思います。



 

現在の八千代鮨。
看板は創業時から60年以上使われており、
老舗の雰囲気をより際立たせている。


      
 
自分は現在、料理飲食業組合や神楽坂3丁目の自治会役員という形で関わらせていただいてますし、
息子も本多横丁の商店会役員やまち飛びフェスタで、以前からお手伝いをさせていただいたりしてますので、引き続き地域とのコミュニケーションを大事していきたいです。

神楽坂にお店を構え50年。時代や街の変化に対応しながらも家庭的な雰囲気は守り続けてきました。
まち飛びフェスタでもその家庭的な雰囲気を味わいながら、落語を楽しんでみてください!す



 


 
【まち飛びDATA】
開催日:11月2日(土)
時間:開場16:00、開演16:30(終演18:00)