活動の根本にあるのは“建てない建築家”




 
トップバッターを務めるのは「ヘッドドレスワークショップ」で参加のアーティスト ヴィヴィアン佐藤さんです。

様々な肩書を持ち幅広く活躍するヴィヴィアン佐藤さん。それぞれの活動の根底には何があるのかお話を伺いました。
そして今回は特別に主催の「粋まち」の日置圭子さんと南仏料理屋「ル・モコ」の奥山緑さんも一緒にインタビューに参加していただきました。


 

ヴィヴィアン佐藤さん


 
肩書きがいろいろあっても本質は一緒

――最初にヴィヴィアン佐藤さんの活動について紹介をお願いします。

ヴィヴィアン佐藤(以下、ヴィヴィアン) 私は様々顔を持っているんです。
アーティストでもあるし、“建てない”建築家、それから映画の批評家、エッセイとか文章書いたり、あとは「ドラァグクイーン」といって派手な女装というか、動くオブジェのような活動をしてます。
全ての活動の根本にあるのは「建てない建築家」ですね。
私は「建物」と「建築」を別に考えていて、別に建物じゃなくても建築を作れるという考え方です。
例えば、建物を建てるときは図面や模型を見て作られるから、「模型の模型」なんじゃないかと考えているんです。そうなるとオリジナルではない。
ドラァグクイーンもいわゆる女装家と言う人がいます。女装家ってのは何かに憧れてるんですよ。でもドラァグクイーンっていうのはそういったお手本がないんです。
いろんな肩書きがありますが本質は一緒ですよ。


 

様々な肩書きを持つヴィヴィアン佐藤さん。
根本は「建てない建築」という考えに基づいている。

 
 
頭の上の敷地につくる建築

――その中でヘッドドレスのワークショップを始めたきっかけを教えてください。

ヴィヴィアン ヘッドドレスは頭上建築と言って、頭の上の敷地につくる建築なのです。頭上の方が建物よりも意味的に強度なものを作れると思って3年ほど前から始めました。
自分の中でしっかりとした考えがあればどこでも建築はつくれるっていう考え方なんです。

奥山 ヴィヴィがどこかで「飾ることじゃないのよ。これは引いてくことなのよ」と言ってたよね?
ヴィヴィアン 私の考える化粧とかって「本来の自分になる」とか「どんどん裸になって戻る」
ことなんです。違う自分になるんじゃなくて元々の自分に戻る行為が化粧とか着飾ることなんですよ。
というのも、要らないものを取捨選択して捨てていくということが背後にあるかなって想像したんです。



ちゃんと敗けることが大事

ヴィヴィアン 今はファッションって言葉で暫定的に語られるけどアートもそうです。元々自然発生的に生まれたものに対して、「ちゃんと敗けること」「敗北すること」がアートの存在意義なんです。

――「ちゃんと敗ける」ことと力不足で負けることは区別しないといけないですね?

ヴィヴィアン そうです。自然発生的なものと比べて「理解して負ける」ことが大事なんです。

――ワークショップではどんなことをしているのですか?

ヴィヴィアン 私のワークショップの場合は作品を作ってもらいます。ワークショップというと、当日に手ほどきをしてその場でモノを作るイメージがあると思いますが、暖色系とか寒色系などどんな色がいいのかなどを事前にヒアリングします。実はその時点で作品の7割はできているんです。要は自分の使いたいものやこうしたいというイメージを持ってもらうやり方です。


 

ワークショップの様子。
当日時間をかけて「作品」を創り上げる。


 
男性向けには「俺のヘッドドレス」を

――ワークショップに参加される方は女性が来るイメージですが、男性も来られますか?

ヴィヴィアン それが来るんですよ。この間は「俺のヘッドドレス」っていう男性専用のワークショップをやりました。(一同爆笑)
当日は8人ほど来ていただいて、武将みたいな兜みたいのできました(笑)


 

女性だけでなく、男性も制作に熱中する。
男性のみのワークショップも好評だ。


 
会場はフランスの田舎の家の雰囲気

――まち飛びフェスタの来場者に向けた注目ポイントを教えてください。

奥山 ヘッドドレスを制作しながら、フランスの空気を感じることができるここル・モコでオリジナルサンドイッチが食べられますよ。

日置 「ル・モコ」は神楽坂の象徴ですよね。フランスらしさと、神楽坂がとてもいい雰囲気で融合していますね。

ヴィヴィアン 素晴らしいセンスですよね。

奥山 フランスの田舎の家のような雰囲気を出すため壁も手で塗っているんです。
この柱は40年前に建てられた時のままなんですよ。ちなみに前はフグ屋さんだったんです。

――日本とフランスが上手く融合していますね!


 

今回の会場となる南仏料理屋「ル・モコ」。
フランスの雰囲気や料理を味わいながらワークショップに熱中できる。


 
神楽坂の新しい一面を知りたい

――神楽坂とは今後どう関わっていきたいですか?

ヴィヴィアン まち飛びフェスタをいい機会に、神楽坂の新しい一面をどんどん知りたいですね。
いろんな面がありますからね街も人も。
新しい面というか、今まで見えなかった面とかそういったところでまた触れ合いもできたらいいなと思います。


 

最後はヘッドドレスを付けて記念撮影。
左から奥山さん、ヴィヴィアン佐藤さん、日置さん。

 
 
ヘッドドレスワークショップではお互いの個性あふれる“頭上建築”も見られますので、ぜひご参加いただき、創り終わったあとは、体中の力を出す余裕のないくらい熱中しましょう!


 
【まち飛びDATA】
開催日:10月27日(日)
時間:11:00~17:00
定員:10名・要予約