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【東京日仏学院】展覧会「Thierrée / Daifu」ヴィクトワール・ティエレ、題府基之



 

「身体の不在が浮かび上がらせる風景」
ヴィクトワール・ティエレ × 題府基之 展


フランスのアーティスト、ヴィクトワール・ティエレ(1988年生まれ、パリ在住)と、東京を拠点に活動する写真家・題府基之(1985年生まれ)。本展では、この二人の作家に共通するテーマである「身体の不在」を軸に、それぞれの作品世界を紹介。両者の作品において中心となるのは、人そのものではなく、人間の不在によって浮かび上がる風景です。それは、文字通りの土地の風景であり、同時に文化や歴史によって形づくられてきた風景でもあります。人間の身体は画面の中に現れない。しかし、場所に残された痕跡によって、その存在や影響が静かに示唆されます。

沖縄という風景をめぐるヴィクトワール・ティエレ
ヴィクトワール・ティエレの近年の作品は、沖縄を重要なテーマとしています。
沖縄の政治性は、日本人写真家・東松照明の作品によっても長く考察されてきましたが、ティエレの視点はそこから少し距離を取っています。
彼女の関心は、ミリタリー・カルチャーに内在する美学と、それが世界各地に残していく痕跡に向けられています。
軍事技術や軍事文化が生み出す形態や視覚性は、政治や歴史だけでなく、風景そのもののあり方にも影響を与えています。
本展では、赤外線軍事技術を用いた映像作品 「UFO(未確認飛行物体)」 を展示します。
不穏なサウンドとともに映し出される映像は、確かに存在しているにもかかわらず、意図的に「未知」として保たれる対象が呼び起こす、抽象的な不安を喚起します。
また、軍事装備の機能によって規定された形態を思わせる彫刻作品も展示され、軍事技術が生み出す審美的フォルムが示唆されます。

人のいない都市を撮る題府基之
一方、題府基之の初期作品は、家族や恋人といった親密な関係性をテーマとしていました。
密集する家族の関係や、妊娠中の母/恋人と作家自身との距離感など、きわめて個人的な領域を扱った作品で知られています。
しかし、その後の写真作品の多くは、人影のない都市の風景へと焦点を移していきます。
彼のカメラは、設定を変更しないまま撮影されることで、都市のストリートを人工的な色彩へと飽和させています。
その結果、写真には人間の姿は現れません。
しかし、都市に残された痕跡——建物、影、光、空間の配置——によって、そこに存在していた人間の気配が暗示されています。
本展では、写真シリーズ
「untitled (Surround and Pee)」 からの抜粋作品と、
「Untitled (Shadow)」 の作品を展示します。

不在が示すもの
ティエレと題府の作品においては、人物も場所も明確には語られていません。
しかし、そこに残る人工的な風景の輪郭は、人間の不在そのものを内包しています。
作品に人は写っていませんが、その不在によって、かえって人間の存在が想像されます。
二人のアーティストの関心が交差することで、
そこに暗示された見えない人間の存在が、作品を観客にとって共感可能なものへと変えていきます。
それは、アーティストからアーティストへ、そしてアーティストから観客へとつながる感覚でもあります。

| アーティスト
ヴィクトワール・ティエレ(Victoire THIERRÉE)
彫刻家、写真家、映像作家。1988年生まれ、パリ在住。
2025年、6年間にわたるプロジェクトの集大成となる個展 「Okinawa!!」 をコレクション・ランベール(アヴィニョン)で開催。同時に、RVB Books(パリ)より初の写真集『Okinawa!!』を出版。
2024年にはフランス国立宇宙研究センター(CNES)でのレジデンスの一環として鉄鋼彫刻を制作。この作品はLa Friche la Belle de Mai(マルセイユ)で展示され、現在はEspace de l’Art Concretでも展示されている。
2026年4月、日本初個展「Okinawa!!」をKG+フェスティバルの一環として関西日仏学館(京都)で開催予定。現在、京都のヴィラ九条山にてレジデンスを行っている。

題府基之
1985年東京生まれ。現在も東京を拠点に活動。

主な展覧会
「Japanese Photography from Postwar to Now」(サンフランシスコ近代美術館、2016年)
「untitled (surround)」(MISAKO & ROSEN、東京、2018年)
「untitled (surround)」(The Green Gallery、ミルウォーキー、2019年)
「Lovesody」(ヨーロッパ写真美術館 MEP Studio、パリ、2022年)
2025年には銀座メゾンエルメス フォーラムのグループ展 「スペクトラム スペクトラム」 に参加。
2014年には Prix Pictet のファイナリストに選出され、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館で展示。2017年には 日産アートアワード のファイナリストにも選ばれている。

写真集
『Lovesody』(2012)
『Project Family』(2013)
『Still Life』(2016)
などがあり、フランスの作家ミシェル・ウエルベックとの共著『Hypermarché-Novembre / 大型スーパー 11月』(2018)も刊行。
また現代美術雑誌 「Section」 の出版も行っている。

期間 2026.03.19(木)~04.26(日)
時間 12時~20時
場所 東京日仏学院
住所 〒162-8415 東京都新宿区市谷船河原町15
お問い合わせ 東京日仏学院
〒162-8415 東京都新宿区市谷船河原町15
関連サイト https://culture.institutfrancais.jp/event/exposition-thierree-daifu
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