![]() 新内横丁のなかほどにある【餐事(sanZi)】は、クラフト酒&スパイス料理の店だ。山本とうふ店があった場所といえば、「ああ」と思わず頷く方も多いのではないか。取材をしていると、偶然通りかかった山本とうふ店のおかみさんが、外から気さくに話しかけてきた。聞けば、「いつも気にかけてくれて、とてもよくしてもらっているんです」とオーナーの浜崎さん。昔ながらの大家と店子の絆が感じられる、心あたたまる光景だ。 ![]() オーナーが勢ぞろい(左から浜崎 翔さん、梅木健太さん、相澤長明さん)
![]() スタッフの石垣太陽さん(左)/浜崎さん(右) 爽やかな自然の恵み
【餐事(sanZi)】の“お店を語る一杯”は、ひふみよブリューイングの「Nyoki Nyoki Ale」。にょきにょきという名が表す通り、たけのこを使ったエールビールだ。クリアな味わいの中にほのかな甘さがあり、最後の余韻で春の香りとほろ苦さを楽しむことができる。
![]() Nyoki Nyoki Ale/AVB5.0(250ml1,100円税込)
「ひふみよブリューイング」では通年醸造しているレギュラーラインだけではなく、トマト&バジルやグリーンティなど、鹿児島の四季を感じる限定クラフトビールを発売している。「Nyoki Nyoki Ale」も季節限定商品で、しかも樽生ビールしか製造していないため流通量は非常に少ない。「ひふみよブリューイング」の直営店以外では【餐事(sanZi)】だけという、とてもレアなクラフトビールだ。 ![]() 厳選の8タップ
挑戦しつづけるブルワリー
「ひふみよブリューイング」は地元鹿児島産の規格外農作物を利用し、クラフトビールを製造しているブルワリーだ。出会いのきっかけは「美味しいビールと素晴らしい試みのブルワリーがある」というお客さんの声だった。「ひふみよブリューイング」は障害者就労継続支援事業所とともに麦芽粕を高品質の飼料や肥料に転換する取り組みや、アール・ブリュット作品をラベルグラフィックに採用するなど、多様な人々が手を取り合い、共に暮らせる未来を創造するための模索を続けている。小規模ながらもクリエイティブな「ひふみよブリューイング」のファンは多い。もちろん浜崎さんもその一人だ。東京から熱心に通ううちに信頼関係が深まり、特別に樽生ビールを卸してもらえることになったという。「ひふみよブリューイング」の樽生ビールが味わえるのは、直営店以外は【餐事(sanZi)】だけなので、来店したらぜひ注文してもらいたい。 ![]() こだわりのスパイスたち ビールがすすむスパイス料理 前職はプログラマーだった店長の相澤さん。食べ歩きが趣味で味の経験を積んでいたことを、学生時代からの友人・浜崎さんに見込まれ共同オーナーに。今回は会えなかったが、もうひとりのオーナー 梅木さんは、スパイス香辛料ソムリエの資格を持つ現役の医師だ。梅木さんがスパイスメニューについてのアイディアを提案し、相澤さんがそれを試行錯誤しながら洗練させていく。梅木さんの創造性と相澤さんの味の経験が組み合わさって生まれたスパイス料理は、どれもが魅力的だ。メニューを前に迷う方も多いと思うので、編集者おすすめの2品を紹介する。
![]() オーナー兼店長の相澤長明さん
![]() 馬告(マーガオ)ポテサラ(700円税込)
馬告(マーガオ)ポテサラ カリカリになるまで焼いた香ばしいベーコンと、ぴりっとした辛味と微かな苦味の馬告(マーガオ)のアクセントが効いたポテトサラダ。馬告は台湾の泰雅(タイヤル)族が古来より愛用している調味料で、海抜1500メートル以上でしか採れないため、幻の香辛料とも呼ばれているレアなスパイスだ。ポテトサラダの上には、ガラムマサラやカイエンペッパーを使ったカレー風味の濃厚煮卵。ひとふりのクミンが清涼感を与えている。 ![]() トマトとアボカドのさっぱりスパイス風味(600円税込)
トマトとアボカドのさっぱりスパイス風味 スパイス控えめなメニューを食べたいひとや、フレーバーチェンジしたいひとにおすすめ。爽やかなトマトとアボカドをオリーブオイルであえたひと皿だ。 ![]() 日本の地(Zi)の物にこだわりつづける【餐事(sanZi)】。一杯のビール、ひと皿の料理が、今日もひとをつないで地域を彩る。
![]() 【DATA】
住所:東京都新宿区神楽坂6-26 YMビル101 公式HP(SNS):https://www.instagram.com/sanzibar.official/ 電話: 080-8911-3756 メール:info@san-zi.com 営業時間: [月・水-金]18:00-23:00 [土・日]12:00-15:00/18:00-23:00 定休日:火曜日 |