毘沙門様とお正月 |
■泉鏡花の時代から『毘沙門様は守り神』
「姿の見える敵なら撃退もしてくれようが、姿が見えなきゃいくら無敵の毘沙門様でも歯がたたねえや」なんて江戸っ子のボヤキが聞こえてきそうな……。令和2年も暮れていきました。 |
■鏡花が神楽坂で新所帯を持った頃
大正14(1925)年、泉鏡花が文藝春秋に載せた「神楽坂の唄」をご存知だらうか? この唄は「一里(ひとさと)は、神楽に明けて神楽坂。玉も甍も、朝霞……」とはじまる。その唄の後半に忘れられないフレーズがある。「毘沙門様は守り神、毘沙門様は守り神」と。泉鏡花の時代、すでにまちの「守り神」として信仰されていたのだ。長い詩の中には、神楽坂界隈の地名や風物が登場し、大正時代の情緒と、新所帯を持った頃の鏡花の心情が吐露されている。
この鏡花の詩に曲をつけたのが杵屋勝東治師。そして振付を担当したのが、花柳輔三郎師だ。毎年4月に「神楽坂をどり」の会で演じられているのは、最初の2行と最後の5行で、芸者衆にリフレインされて、舞台はぱっと活気づく。 |
■春を告げる風物詩
いまでも神楽坂の新人芸者が最初にお稽古つけるのが「神楽坂ざかり」とこの「一里」である。この曲が箪笥まちホール(当日だけ「神楽坂劇場」と呼ばれる)で聞けることを楽しみにしている神楽坂の人は多い。神楽坂のまさに『春を告げる風物詩』だ。令和2年は、コロナ禍で残念ながら中止となってしまったが、令和3年にはぜひ、毘沙門様同様、神楽坂を元気づけてもらいたいものである。 |
■お正月といえば新宿山ノ手七福神
![]() 正月に七福神巡りをする人は多い。すべて新宿区内にあるので、健脚自慢の方は歩いて回るといい。ただ2時間では回れない、2時間30分はみておいて方がいい。
スタートとゴールは自分で決めた方がおもしろい。新宿観光振興協会が発行している七福神巡り用のマップをネットでダウンロードして入手するとわかりやすい。写真のミニ御尊像は、各お寺や神社で一体ずつ購入(500円)して集める。まとめて一カ所集めることはできない。 ![]() 毘沙門天 善國寺 JR「飯田橋駅」より徒歩8分 大黒天 経王寺 大江戸線「牛込柳町」駅より徒歩1分 寿老人 法善寺 大江戸線「東新宿」駅より徒歩8分 弁財天 厳嶋神社 大江戸線「東新宿」駅より徒歩9分 福禄寿 永福寺 大江戸線「東新宿」駅より徒歩7分 恵比寿神 稲荷鬼王神社 大江戸線「東新宿」駅より徒歩5分 布袋尊 太宗時 丸の内線「新宿御苑」駅から徒歩2分 江戸時代に流行した七福神巡り、現代にあてはめてみるとちょっとスタンプラリーみたいだ。インドや中国、日本の神様を7カ所も巡るとなれば、幸せもたくさんかき集められるかもしれない。 |
■DATA 住所:〒162-0825 東京都新宿区神楽坂5-36 電話番号:03-3269-0641 |