花まつり(灌仏会)は、お釈迦さまの誕生を祝う仏教の行事で、毎年4月8日頃に全国の寺院で行われます。
お釈迦さまが生まれたといわれる、美しい花に包まれたルンビニ園は聖地とされ、その様子を再現するために「花御堂(はなみどう)」を花で飾り、中央に誕生仏がまつられます。
誕生の際に天から甘露の雨が降ったという伝説にちなんで、参拝者は誕生仏に甘茶をそそぐ「灌仏(かんぶつ)」を行い、無病息災や厄除けを願います。さらに、多くの寺院では子どもたちの健やかな成長を願う「稚児行列」が催されます。
春の花と祈りに包まれる花まつりで、心穏やかなひとときを過ごしてみませんか?
「徳川綱吉ゆかりの寺で、花と祈りに包まれる」
元禄10(1697)年、五代将軍・徳川綱吉の生母である桂昌院の発願により創建された「護国寺」。護国寺の本堂は国の重要文化財に指定されており、入母屋造の大屋根や、細部にわたる精巧な彫刻が施された格式高い建築で、江戸時代の寺院建築の傑作とされています。本堂以外にも、桃山期の建築美を今に伝えている月光殿(重文)、金銅五鈷鈴、絹本墨画漁夫図 張路筆(中国・明時代)など多くの国宝、重要文化財が寺宝とされております。
華やかな衣装に身を包み、「花御堂」とともにしずしずと練り歩く「花まつり稚児パレード」は、まるで天上の楽園を思わせるような優雅な光景です。続いて、子どもたちの健やかな成長を願う法楽が捧げられ、代表のお稚児さんによる献灯・献花、誕生仏への「灌仏」が厳かに執り行われます。
「お稚児さんの笑顔が彩る、宗柏寺の春」
宗柏寺は、寛永8(1631)年に創建された日蓮宗の寺院で、学問や修行の場として人々の信仰を集めてきました。釈迦堂に安置されている釈迦尊像は、伝教大師の真作で、比叡山延暦寺から織田信長の焼き討ちを逃れて守られた貴重な仏像です。江戸時代中期には、八代将軍・徳川吉宗によって創設された徳川御三卿の一つ、一橋家の祈願所となりました。
花まつりでは、雅楽の調べに包まれながら、白象の山車を先頭に、お稚児さんたちが色鮮やかな衣装をまとい、まちをゆっくりと練り歩く「天童稚児行列」を実施。行列の後は、お釈迦堂にて子どもたちの健やかな成長を願った「発育健康祈願」の法要が執り行われます。
さらに、お稚児さんの着替えが終わると、子どもたちが楽しみにしている「あたり付き!幸運まり投げ」が催されます。
大切なご家族とともに、宗柏寺の花まつりで心穏やかなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか?
「甘茶をそそぎ、願いを込める春のひととき」
毘沙門天善國寺は、文禄4年(1595年)に創建された日蓮宗の名刹で、「神楽坂の毘沙門天さま」として親しまれてきました。毘沙門天は、戦勝祈願や商売繁盛のご利益があるとして、江戸時代から現在まで多くの参拝者が訪れる寺院です。また、文豪たちにも愛された場所であり、夏目漱石の小説『坊っちゃん』や、泉鏡花の詩『神楽坂の唄』にも登場するなど、文化的にもゆかりの深いことで知られています。
毘沙門天善國寺では、本堂に飾られた「花御堂」の前で訪れた人々が誕生仏に甘茶をそそぎ、お釈迦様の誕生を祝います。
参拝者には甘茶がふるまわれるほか、「お持ち帰りパック入甘茶」の授与(100円)もございます。なお、こちらの「お持ち帰りパック入甘茶」は母子家庭の子どもたちへの支援事業に全額寄付いたします。ご協力いただいた優しい気持ちとともに、心に残る春の思い出をお持ち帰りください。