神楽坂下から坂上に上ってきて、赤城神社を越した辺りからを「奥」と言ってみようと思う。「奥」を歩くと、意外なところで意外なお店や施設に出くわして、「奥」歩きは想像以上にときめく。銭湯が三軒もあり、印刷や箔押し、製本の町の中に大人が憩う豊かでしっとりとした風情が漂っている。そんな「奥」をこれから小誌では隅々まで歩き、何度か特集にしたいと思っている。平成30年の春までには「奥神楽坂探訪マップ」が完成する予定だ。



■だれもがホッとひと息つけるモダンな茶店

オリホン(現:熊木ホットケーキ店)

新潮文庫専門の製本所だった。それが今年1月になつかしくてあたたかい「茶店×洋食」のお店に生まれ変わった。「カフェ」とは言わない。10代から高齢者までがほっとひと息つける憩いの空間を創出したかったと語る。店内で異様な存在感を示しているのが、製本所時代の地下へ荷物を運ぶエレベーター。そのいかつい鉄の箱の中にキラキラと輝くジュークボックスが置かれている。演劇の小舞台のようでもあり、昭和のモダンだ。メニューは、赤ワインにつけたジャムなど手作りのものを大切にしている。印刷や製本の町にあって、心温まる視線を感じるお店である。

住所|東京都新宿区中里町26 熊木ビル1階
営業時間|11:00 ~ 18:30 (LO18:00)
定休日|月曜日
かぐらむらの店舗紹介ページ|https://kaguramura.jp/detail/115/index.html



■小規模ワイナリーの稀少ワインにも会える!

グルトンベール

店頭には1本もワインを置かないという方針。温度と湿度を管理したウォークイン・セラーに保管されている。ワインは生鮮食品のように大切に扱ってこそ本来の味が楽しめるとい考えを実践。オーナー夫妻は20年程ワインレストランを経営してきた。その知識と経験が店づくりに生かされている。ヨーロッパの小規模ワイナリーの高品質・稀少ワインを多く扱っている。店内ではワインに合ったおつまみを揃え、気軽に角打ち、貸切りパーティもできる。さらに隣の店舗では、調理道具、食器類を完備したレンタルスペースも貸し出している。

住所|東京都新宿区矢来町赤城下町32 小高ビル1階
お問い合わせ|03-6265-3157
営業時間|13:00-21:00(ラストイン)
定休日|火曜日ほか月1日
かぐらむらの店舗紹介ページ|https://kaguramura.jp/detail/114/index.html

 

■奥神楽坂で大人が音楽を楽しむ空間

u-ma kagurazaka

大人が集まって遊ぶ空間。天窓があり、グランドピアノがでーんと真ん中に据えられた空間で、週末ごとにジャンルを超えて音楽を楽しむ大人たちが集まっている。ジャズ、クラシック、ポップス、R&B、ブラジル音楽等々。2年前の5月にオープンし、さまざまなミュージシャンが毎月のプログラムをつくりあげてきた。1階はカフェで、週末にはランチもやっていて、シェフのつくる菜食主義のメニューが人気だ。(残念ながら月・火・水は、ランチはお休み)。2階は、4名までの勉強会、セッション、カウンセリング、3階は料理器具やキッチンを完備しているので、料理教室やパーティに。実に多目的に使用できる大人の空間が奥神楽坂に誕生した。

 

住所|東京都新宿区矢来町132-5
お問い合わせ|03-5946-8765
定休日|不定

 

■カフェ、バーは海外旅行気分

UNPLAN

海外からの宿泊客が8割を占めるホステル。オシャレな雰囲気で、また神楽坂には宿泊場所が少ないのもあってか、日本人女性の宿泊も人気だという。宿泊者用のスペースではたこ焼きパーティーや、神楽坂のバーを宿泊客同士で巡るバーホッピングなども企画実施されている。宿泊でなくとも、一階にはカフェスペースがあり、夜にはバーを楽しむことができる。スタッフの方はみなさん日本語も話せるとのことなので、気軽に外国に来たような雰囲気を楽しめそうだ。

住所|東京都新宿区天神町23-1
お問い合わせ|03-6457-5171
URL|https://unplan.jp/



■暮らしに器と野菜

E-to

E-to(いーと)の名の通り、食べることにまつわる器や食材を扱うお店。農法にこだわった新鮮な野菜をはじめ、添加物の有無やおいしさ、パッケージのデザインにも配慮してセレクトされた調味料なども並ぶ。普段使いできる器は作家もので、シンプルながら人の手が感じられる器を気軽に楽しむことができる。この常設の他、月に2、3回は企画展が実施されている。日々の暮らしに手作りの器が加われば、何気ない食事をもっと楽しむことができるはず。そんなことをE-toの江藤さんは提案してくれている。

住所|東京都新宿区矢来町138-101
お問い合わせ|03-6457-5009
営業時間|11:30-20:00
定休日|月曜定休
URL|http://jam-studio.jp/e-to/
かぐらむら テイクアウト特集 6.E-to(お弁当)



■着物でちょっと特別な一日に

着物サロン岡本(多千花きもの着付け教室)

呉服屋さんというと敷居が高いイメージだが、ここは気軽な着物サロン。着物に少し興味があって、見てみたい、どうすればいいの? そんな貴方が気楽におしゃべりできる空間だ。主宰の岡本さんは、貴方のライフスタイルに寄り添った、着物の楽しみ方を提案してくれる。プライベート着付け教室も開いているので、これからの浴衣シーズンに貴方だけのレッスンを組んでもらってはどうだろう。神楽坂でランチをしながら美しい所作やマナーを学べるのも嬉しい。着物で神楽坂を楽しみたい貴方は、ぜひ着物サロン岡本へ。

住所|東京都新宿区天神町63 Ruede神楽坂201
お問い合わせ|03-6676-7805


 

■創作活華〜活け手ならではの感性をアレンジメントに

(移転)アトリエ桜優

金・土・日の週末にオープンしている、フラワーアートのアトリエ&ギャラリー。主催者である桜優さんの端正ながらドラマティックな作品は、4月に行われた東京ミッドタウンのフラワーアートアワードSNS人気投票にて、2部門で1位を獲得。普段はディスプレイプランニングや、美術専門学校にて色彩講座も担当しているとのこと。今後は幅広いジャンルのアーティストとのコラボ企画や、レッスンサロンも計画中。これからの展開が楽しみだ。

住所|(神楽坂での再開未定)東京都新宿区鶴巻町545−10 伊藤ビル101
お問い合わせ|03-6280-8712
営業時間|13:00-19:00
営業日|金曜日-日曜日
 



■お洋服のお悩み、お聞かせください

Seams Parlour

オーダースーツ、シャツをはじめ、洋服の修理、販売もしているシームスパーラー。店主の町井さんは、依頼されるお客様の好み、希望を聞いて依頼に取りかかる。仮縫いをして、体つきを把握しながら手を動かし、鋏を握り、ミシンを踏んで、繰り返しながら段階的に作っていく。新しい服を作ることも、これまで大事にしてきた服を修理することも共に安心して任せることができそうだ。

住所|東京都新宿区榎町41 1階
お問い合わせ|070-3139-0321
営業時間|11:00-19:00
定休日|日曜日

 

■おんぶらーじゅでご飯をたべましょう

おんぶらーじゅ

リーズナブルな価格でランチが楽しめて、同じように可愛らしい小物も楽しめるカフェ&レストラン。知的障害のある方が生き生き働けるようにとの思いもこめて、福祉事業所「シャロームみなみ風」に併設されている。おんぶらーじゅはフランス語で「木陰」のこと。「ちょっと木陰でひとやすみ」のように地域の憩いの場所になりたいとの願いから名付けられている。ワンコインから手作りランチを楽しみたい、可愛い小物がほしい、歩き疲れたのでひと休み、そんなときはおんぶらーじゅでゆっくりしましょう。

住所|東京都新宿区弁天町32-6
お問い合わせ|03-5579-8412
営業時間|11:00-16:30(L.O)、日曜日・祝祭日-15:00
定休日|不定
URL|http://ombrage-cafe.jp/
 



■なんとなく寄って行きたくなる

swing by coffee

自家焙煎コーヒーとパンと焼菓子のお店。小さな椅子があるので、店内でコーヒーと焼菓子を楽しむのも良いし、まち歩きをしながら楽しむのも良い。swing byは「立ち寄る」「寄り道をする」の意味で、その名の通り、つい寄り道してコーヒーと焼菓子がほしくなるだろう。お店のある天神町は生活しやすいエリアで、その一部分になれたらいいと、お店を営む成田夫妻は言う。通勤の途中、お昼休み、買い物の帰り道、ぜひふらっと立ち寄ってみては。夏場は自家製ジンジャーエールもオススメとのこと。

住所|東京都新宿区天神町78 1階
お問い合わせ|03-6280-8963
営業時間|10:00-19:00
定休日|火曜日・水曜日



■子連れでもハワイのビーチ気分

Blue Sea

山吹町の広い歩道沿いに、ハワイの海を描いた小さなお店が誕生した。その名も「Blue Sea」。壁一面の海辺の光景は、かなり力がこもっている。絵は四人の子どもたちの名前をとり入れた構図になっているという。お店で迎えてくれるのは、白い割烹着姿のお母さんだ。不思議な組み合わせと思ったが、すぐに合点がいった。ビーチリゾート好きの娘さんと、そのお母さんのお店だった。メニューの多くは、お母さんの家庭料理。ドレッシングやスープも手づくりで数種類から選べる。離乳食や小さな子ども向けのサービスも満点。オーナーは、手話での対応もできる。

住所|東京都新宿区山吹町128 米川ビル1階
お問い合わせ|03-6884-7351
営業時間|11:00-22:00
定休日|日曜日

 

■(閉店)リサイクルとオーガニック、人と環境に優しいということ

LOOSE

カフェとセレクトショップを併設するLOOSE。カフェの方は食材に特にこだわり、お米、野菜、お肉、卵などはそれぞれ有機のものを厳選した上で、日本各地から取寄せている。セレクトショップでは観葉植物や、家電からアンティーク調の食器まで、リサイクル商品も材質やデザインなどで選び抜いているという。元印刷工場を改装した店内は広々とくつろげる空間で、きっと時間を忘れてリラックスできるはず。

住所|(閉店)東京都新宿区水道町1-1
お問い合わせ|(閉店)03-6280-7655
営業時間|(閉店)11:00-23:00
URL|(閉店)http://loose.tokyo/



■(2020年閉店)気軽に楽しく、卓球で喜びと解放を

Lili 卓球スタジオ

オシャレな内装の卓球スタジオ。これまでの卓球施設とは違い、ソファーが置かれるなどアットホームな雰囲気になっている。卓球を通じていろんな人と出会い、リラックスした時間を過ごすことができそうだ。経験者はもちろん、卓球が全くの初心者でも問題なく、それぞれに合ったレッスンを選ぶことができる。完全予約制にはなっているものの、希望時間の一時間前まで予約が可能なので、ギリギリでも空いていればレッスンを受けることができる。街歩きを楽しむ途中、ふらっと立ち寄るのも歓迎とのこと。

 

住所|(閉店)東京都新宿区天神町36-1-1階
お問い合わせ|(閉店)03-5579-8779
URL|(閉店)http://www.lilisc.com/


 

■(2018年1月閉湯)豪快な湯船と豊富なジャグジー

松の湯

祖父の代からの三代目。70年以上続いている松の湯。なによりも湯船が豪快で大きい。真ん中にかわいい球体のオブジェがありそこから湯が出ている。地域の中にどっしりと構えていて、小さな子どもからお年寄りまで迎え入れる銭湯こそ昔からのコミュニティの存在する所かもしれない。松の湯さんは、ジャグジーバスが充実していて、肩こりやマッサージに効果のあるジャグジーが5種類もある。生薬(瑞恵泉)の薬湯、さらに露天風呂(男湯のみ)もある。手ぶらセット(タオル、シャンプー、リンスで160円)でふらりと立寄るのもいい。

住所|(閉湯)東京都新宿区山吹町16
お問い合わせ|(閉湯)03-3268-6248
営業時間|(閉湯)15:00-24:00
定休日|(閉湯)火曜日



■(2019年3月閉湯)身も心もリラックスできる空間

金成湯

天井が高く明るく、白を基調にした室内はすっきりとして気持ちの良い空間だ。お湯はちょっと熱めで、これがまた気持ちがいい。通常の銭湯では、サウナは追加料金となるが、金成湯さんは、追加料金がいらず湿式サウナに自由に入れる。湯船の上のタイル画は、瀬戸内海だろうか、島々が描かれていて、側面にはヨーロッパを思わせる山々と湖がある。湯上りにはマッサージ器(有料)も使って、身も心もリラックスできる。一人暮らしの世帯が増えている新宿区にあって、銭湯は消えてはならない存在だと思う。

 

住所|(閉湯)東京都新宿区中里町13
お問い合わせ|(閉湯)03-3268-0804
営業時間|(閉湯)15:00-23:00
定休日|(閉湯)金曜日

 


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