神楽坂で行われるイベントの数は、他のまちに比べてかなり多い。多すぎて疲れ切ってしまうとこぼす人もいれば、商業の活性化には全然結びつかないという声もある。それでは、神楽坂には、どんなイベントがふさわしいのか。現在のイベントの実態はどうなっているのか、編集部で取材しました。 ※体力測定の時に使用する五角形の評価チャートとイベントデータをつけ、わかりやすさを優先しました。 神楽坂をどり 4月 神楽坂の春といえば、芸者衆が総出で出演する「神楽坂をどり」。日頃研鑽を積んできた芸の成果をお披露目する美しくて艶やかな世界が繰り広げられる。今年度は、事情があって開催されなかったが、来年度には新規一転、女性理事長のもと新しい「神楽坂をどり」が着々と準備されている。来年度の演目は「女忠臣蔵」。若手からベテランまで総出で舞台を彩る様は、きっと記憶に残る舞台をつくりあげるだろう。 東京広しといえども、地元花柳界が主催する芸者衆の舞台は、実に贅沢なエンターテイメントにして、粋な文化である。他のまちから見れば、まさに羨望の的といえる。神楽坂が神楽坂である原点がここにある。 イベント情報 開催回数:33回(年1回3部制、春) 開催場所:神楽坂劇場(牛込箪笥区民ホール) 運営主体:東京神楽坂組合 入場料:有料 入場者数:約1200人/日 運営費負担:主催者+入場料など http://www.kagurazaka-kumiai.net/ 青空フェスタ 5月・10月 神楽坂6丁目商店街を代表するイベント。開催日は、春と秋の2回。今年の秋で66回目となるから、少なくとも33年目は続いている。一番はじめの名称は「さくらまつり」(この名称だと、年1回だったか)、次に「青空市」、そして現在の「青空フェスタ」になって定着した。その魅力は何といっても各商店の人気ブースと、大判振舞いのプレゼントコーナー。お米や野菜、くだものがふんだんに当たる。ところが昔の市では、自転車が一番のプレゼント商品だった(写真参照)。イベントを支えるのは、地元参加の商店店主たち。日頃の感謝をこめて、汗水流してイベントを盛り上げた。そのアットホームな雰囲気が、現在まで続く人気の源である。 イベント情報 開催回数:66回(年2回、春と秋) 開催場所:神楽坂6丁目 運営主体:神楽坂商店街振興組合 入場料:無料 入場者数:約5000人/日 運営費負担:主催者 http://www.kagurazaka-6.com/ 神楽坂まつり(阿波踊り&ほおずき市) 7月 今年で45回目を迎えた阿波踊りと、昔の夜店全盛時代を再現するかのようなほおずき市。毎年この2つのイベントを合わせて「神楽坂まつり」と呼ぶ。坂下の交差点から赤城神社まで約700メートルの坂道が阿波踊りの舞台となる。都内でも上り坂を踊りながら上るので「最もきつい阿波踊り」とも言われている。ここ十年は、神楽坂人気を追い風に、年々来場者数は増え、4日間で約6万人を超える。 地元企業の他に、新宿区職員、郵便局員、病院スタッフ、信用組合職員なども積極的に連をつくって参加し、地元の手づくり感があふれている。思わず笑みがこぼれてしまうのは、小学生や未就学の小さな踊り手たち。地元小学校5校を巻き込んで約1000人の子供たちが踊る様子は、すばらしいの一語につきる。 イベント情報 開催回数:45回(年1回、夏) 開催場所:神楽坂1~6丁目路上 運営主体:神楽坂まつり実行委員会/神楽坂商店街振興組合 入場料:無料 入場者数 約6万人/4日間 運営費負担 主催者+新宿区助成 http://www.kagurazaka-6.com/ 神楽坂まち飛びフェスタ 10月・11月 起源はアユミギャラリーの鈴木喜一氏が発案し、「ここは牛込神楽坂」の編集兼発行人の立壁正子さんとその仲間が中心となってはじめたイベント。「まちに飛び出した美術館」と名付け、アートイベントとしてスタートした。回を重ねるうちに参加者や参加団体の枠が広がり、伝統芸能から現代のパフォーマーまでが参加。今や神楽坂の市民文化祭といわれる。目玉となるのは、最終日の「坂にお絵描き」、芸者さんの世界にふれる「ざ・お座敷入門」、「化け猫フェスティバル」、今年復活する「ギャルソンレース」など。ボランティアの希望者は年々増え、海外からの留学生までもが加わり、イベントを支えている。 イベント情報 開催回数:18回(年1回、秋) 開催場所:神楽坂エリア一帯 運営主体:まち飛び実行委員会 入場料:企画によって異なる 入場者数:約3万人/2〜3週間 運営費負担:協賛金、参加団体のエントリー料、広告費など http://machitobi.net/ 神楽坂まち舞台・大江戸めぐり 11月 江戸時代からの地割りのままに細い路地や横丁が残り、花柳界の見番や伝統芸能のお師匠さんの稽古場も数多くある神楽坂。こうした雰囲気や風情の中で、新内節や城端曳山祭「庵唄」が路地を演奏しながら流し歩き、毘沙門天善國寺には、仮設の舞台が設けられ、芸能ライブが繰り広げられる。前夜祭と本祭があり、長唄、三味線、尺八、笛、箏、など様々な伝統芸能の魅力に触れられる。2020年の東京オリンピックを視野に入れ、今後江戸東京の文化に期待する幅広い層に支持されはじめている。 イベント情報 開催回数:4回(年1回、秋) 開催場所:神楽坂界隈 運営主体:アーツカウンシル東京/NPO法人粋なまちづくり倶楽部 入場料:無料(一部有料あり) 入場者数:約26000人/2日間 運営費負担:東京都助成 http://kaguramachi.jp/ 記事一覧