『ミッドサマー』を観てきました。
劇場は若い人達で満席でした。一応スウェーデンが舞台という話になっていて、プロデューサーもスウェーデン人ということで北欧ファンとして期待してみましたが、突っ込みところが多々あり、個人的には、イマイチというか、そうとうのイマイチでした。
https://www.phantom-film.com/midsommar/
...観賞後の印象は「パッケージデザインにスウェーデン国旗がありますが、食べてみると”明治ブルガリアヨーグルト”だった」という感じです。あるいは昔、安城駅で「デンマーク弁当」というを販売していたのですが、デンマークのおうち風のパッケージで中はハンバークとか入っていて、開けてみると「全然デンマークじゃないじゃん」弁当だった、という感じでしょうか。
実際、ロケ地はハンガリーだったようです。結論からいうと、北欧の健康な文化と清々しいイメージを求める北欧ファンには、観賞をあまりお勧めしません。この映画に「北欧文化」を期待するのは無理で、スウェーデン夏至祭に着想を得たホラーファンタジー映画として、観るのがいいのでは思います。
北欧文化をよく知る人がみれば、とくに後半は、ふいてしまうかもしれません。実際、個人的には何回が吹き出しました。「おいおい」という感じです。とくに性の儀式は、1970年代の東映時代劇R18指定映画のいわゆる「お上のおタネを頂戴する」シーンそっくりで、困ったなという感じでした。またグロなところは確かにありますが、ホラーぽい映画であればごくフツーの表現です。しかしカルト教義などに関心ある人にとっては、生け贄、踊り、性の儀式、と定番3要素がきちんと盛り込まれていますから楽しめるのではないかと思います。
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スウェーデン夏至祭や北欧文化云々は横に置き、家族を理不尽な形で失った主人公の女性が悲劇と苦悩を乗り越える映画として考えてみましたが、最後まで、共感ができませんでした。そうとはしらずに夏至祭に参加し、生贄としてリクルートされた若者達がかわいそうだな、という思いだけが残りました。
宗教についての知識や理解があるとは思いますが、監督の「スウェーデン生活文化」への理解は、意外に深くないのではないかなと感じました。この映画の内容ならスウェーデン文化への深い造詣は必要ないと思います。
ちなみに本作の字幕翻訳は、北欧のメジャー作品も手がけた松浦美奈さんで、たいへん、わかりやすい字幕翻訳はさすがでした。