【「ハマスホイと19世紀デンマーク絵画」展を見てきました。】
1月21日から始まった「ハマスホイと19世紀デンマーク絵画」展を見てきました。
ハマスホイの作品が公開展示されるのは2008年秋以来です。その年の公開でハマスホイの名は日本人に一気に知られる存在になりました。今回は12年振りの公開です。
前回よりもハマスホイの絵は少ないですが、スケーエン派(注)他、1800年代のデンマークの日常を描いた親しみやすい絵も多数展示されていて、楽しく観賞を終えました。...
もう一度行って見たいと思います。
私はあまり写真を撮らない人間ですが、デンマーク人の家やフォルケホイスコーレを訪ね、だれもいない部屋や片付いたキッチン、二重窓などを見てると、なんとなく美しい人を見ている気持ちになり、無性に写真に収めたくなることがしばしばあります。
ハマスホイのだれもいない部屋の絵の数々みてると、ハマスホイがデンマークの日常生活を描き続けたのは、なんだか自分が写真を撮りたくなるような似通った動機だったのではないかと思いました。できあがったものは、勿論、雲泥の差どころか比較すらできませんが、なんといういうか「なにげないデンマークの日常生活」への憧れが動機になっているのではないか思ったのです。
デンマーク19世紀絵画に個人的に興味を覚えたのは、200年程前のランゲリニエ河岸を描いた絵です。まだ人魚姫像も風車ありませんが、当時から心安まる場所だったのでしょうか?
さて今回「ハマスホイとデンマーク絵画」展図録(2500円)の内容と解説がとても充実しています。展覧会を監修したと言われる山口県立美術館萬屋健司氏の文章は明快かつ詳細に、ハマスホイ絵画のガイドをしてくれています。
萬屋氏は大阪大学でD語を専攻した方です。本をあらためてみると、田辺欧、大辺理恵、當野能之等の名があります。かつての大阪外国語大学(現大坂大学)のデンマーク語、スウェーデン語科出身の先生方です。ですから本書は大阪大学関係者が結集して制作された渾身の図録なのだと思います。
「ハマスホイと19世紀デンマーク絵画」展は、適当に混んでいて適当に空いていて観賞しやすいです。2017年のムンク展では佃煮にみたいに人が集まり、叫び、の前など歩きながらの観賞でしたが、今回はそうではありません。上野駅忍口駅構内にチケット販売所があるので、そこで当日券買っていくと便利です。公開は3月26日までです。
スケーエン派:1870年代にデンマークのスケーエン(同国最北端の村)で生まれたデンマークの近代美術を代表する一派。村の風景や生活をモチーフに絵画を制作した。2017年5月、日本-デンマーク修好150周年記念記念事業として国立西洋美術館で大規模な展覧会がありました。
https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/2153
余談:ハマスホイ展の図録に収録されている「関連年表」の参考文献に小社が1993年に刊行した「デンマーク文学史」が挙げられてていてほんの少し役に立てかなと自己満足。