【フィンランド映画「オリ•マキの人生で最も幸せな日」のご紹介】
フィンランド映画「オリ•マキの人生で最も幸せな日」が1月17日に一般公開されたので、観賞してきました。フィンランド初のボクシング世界タイトルマッチを前にしたボクサーの戸惑い、恋、試合をまでの葛藤を描いたものです。実在の人物をベースにしています。
ボクシング映画というとアメリカ映画「ロッキー」を思い出します。...
https://movies.yahoo.co.jp/movie/25717/
ロッキーでもボクサーの恋が描かれていますが、本作で描かれる「恋」は趣をだいぶ異にしています。普通に観たら、どこにでもいる男女が恋愛し結婚にいたる話なのですが、舞台が1962年であること非常に意味があると思います。
当時のフィンランドはまだ貧しく、当時の「ソビエト連邦」の影響下で資本主義と民主社会を維持するという複雑な社会でした。「フィンランド化」という政治用語も生まれていました。登場人物を当時のアメリカ、ソ連、フィンランドの立場に置き換えてみると、本作が単なる恋愛映画でないことがわかってきます。つまり本作で描かれたボクサーの葛藤と行動は、当時のフィンランドの世界の中での処し方そのものだったのではないか、と思えるのです。
映画はモノクロです。かつてのヌーヴェルバーク映画を彷彿とさせます。女性を自転車の前の荷台に載せて走るシーンは、なにかの映画で見た気がします。ワンシーン、残酷(凄惨ではなく)な場面もありますが、ヒロインの素敵な笑顔が印象に残る映画でした。