第21回 タウン誌の世代

2000年前後、老舗タウン誌の休刊や終刊を目にして、「ネットやケータイも広がり、新規刊行は減るだろう」と考えていましたが、どうやらそうではなかったようです。この十年でも、数多くのタウン誌が創刊されています。何か特別なことが起こったわけではありません。本欄もそうですが、様々な出自のものを「タウン誌」と呼んでいるだけですので、新たに生まれた何かがタウン誌に見えるわけです。この10年では、リトルプレスやジーン(zine)とよばれる雑誌群が生まれています。

たとえば『ご当地発のリトルプレス』(2016年刊行、パイインターナショナル)では、地域にこだわった63誌が紹介されていますが、すべてが2005年以降の創刊で、2011年以降のものも3分の2を占めます。代表格ともいえる『てくり』は、2005年刊行とこの中でも古参になります。

『ご当地発のリトルプレス』

それぞれの時代にそれぞれに特徴的なタウン誌が現れるのです。今回は、その「世代」をたどってみます。 かなり前にはなりますが、1998年のNTTタウン誌フェスティバルには882誌が参加し、創刊年=生年も戦前から開催年までと幅があり、「世代」をみるには質量共に手頃な資料です。対象や内容等から大雑把に次の4つの世代が浮かび上がってきます(もちろん、この世代のすべての雑誌がその特徴をもつ、というわけではありません。一つの目安です)。

(1)1970年代以前=商店会協賛雑誌
(2)1970年代~80年代前半=若者向け情報誌(紙)
(3)1980年代~90年代前半=総合的なタウン誌(紙)
(4) 1990年代後半~=女性向け生活情報誌(紙)

(1)は『日本橋』のように地域の商店会が協賛をして発行されるスタイルで、タウン誌ブームの前から刊行されています。続く(2)世代は、『ぴあ』のような若者向けのレジャー情報をメインとするもので、大都市のみならず各地に生まれています。ただし、この時期はタウン誌ブームとミニコミブームとが重なり実に多様なものが刊行されています。(3)の代表格は『谷中根津千駄木』ですが、現在から見ますと、生活や歴史から飲食店情報も社会問題も特集形式で取り上げ、地域の「総合雑誌」といえましょう。A5判という判型を含めて同誌にならって創刊されたものも少なくなく、『ここは牛込、神楽坂』もその1つです。(4)では、女性向け情報に特化し、時として万単位の大部数が無料で配布されるフリーペーパーが特徴的です。

個々の雑誌には、上の幾つかの特徴を併せもったものもあれば、リニューアルして特徴を変えてきたものもあるようです。本『かぐらむら』も、刊行当初は(4)のフリーペーパー色が強いながら、(2)のように地域の多様な催事情報を提示するのが特徴でした。一方で、(1)のように商店会の協賛も得ていますし、リニューアル後は多彩な寄稿を受け(3)の側面も持ちます。実は、今までのタウン誌の各世代が蓄積してきた経験が反映されているのかもしれません。またタウン誌どうしが刺激しあって、世代に見えるのではないでしょうか。 同時代に、共通の「何か」をとらえる試みもしばしばあります。

2017年の東京でも、日比谷図書館で「見知らんJAPANー地域の魅力再発見ー」展が、新宿のクラブオゾンで「ローカルマガジン展」といったタウン誌の展示会が開催されています。「何か」は、自身で発見してみてください。

『ローカルマガジン展』案内チラシ

高橋正樹
『かぐらむら』編集室