第十九回 はじまりのタウン誌カフェ

なぜかはじまり、なにやら続いている感のある当欄ですが、きっかけは実際に開催された「タウン誌カフェ」です。長岡編集長による「開催報告」が「かぐらむら」にも掲載されていますので、ご記憶の方もいらっしゃるかと思います(こちらのサイトでも文章が見られます。http://www.sazan-c.com/column.php?itemid=101)。

タウン誌カフェ開催のためのチラシ

2011年の開催になりますから、はや6年が経ちました。

神楽坂2丁目にあるギャラリーカフェパルスにて、11月15~20日までの6日間、日本全国のさまざまなタウン誌を100近く集めて展示するというものでした。また最終日にはタウン誌研究家の田村紀雄氏(東京経済大名誉教授)をお招きして「タウン誌ウォッチング40年」と題したお話を聞きました(後に同名タイトルで『出版ニュース』2011年12月中旬号に掲載されています)。喫茶店で座りながら聞くので茶話会です。田村先生は1970年前後からタウン誌の動向を見守り続けてきた研究者です。関連著作も多いです。聞き手にも、「卒論でタウン誌を取り上げる予定です」「実は職場でタウン誌を編集しています」という方も集まってくれました。

さてこのイベントのきっかけとなったのは2011年の東日本大震災です。70年代から岩手県宮古にてタウン誌の刊行を続けている「みやこわが町」が、被災後も刊行を続けていることを知りました。被災情報だけではないそれぞれの地域を知る媒体としてのタウン誌を広く紹介できないか、と思いついた次第です。関係者や知り合いの手持ちのものを集めたり、発行者に直接に提供を呼びかけたりして、開催までに実に様々なタウン誌を集めることができました。

大津波を特集したタウン誌「みやこわが町」

せっかく集めたものを巡回展示などできないだろうかという思いもあったのですが、とりあえず紙上展示会のかたちで「継続して紹介を」ということで当連載がはじまった次第です。当初は「古今東西」ということで、今はないものも積極的に紹介する予定だったのですが、今なお新しいタウン誌が誕生し続けていることに気が向いてしまい、旧タウン誌の紹介がやや手薄になってしまいました。それでも「タウン誌ブーム」以来の蓄積の重みや影響力は大きいです。今なお刊行を続けている雑誌も少なくないですし、なによりタウン誌というかたちを世間に広く示してきました。ちなみに先の田村先生のお話の中で、「40年前のタウン誌カフェ」も紹介されていました。ブームを受けて全国のタウン誌が見られる「アクセス」という喫茶店が1977年に神田にオープンしたそうです。関係者の交流の場にもなったとか。こちらは残念ながら今まで続いたわけではないですが、時を経て別の場所、別の人間の発想の中にあらわれてきてしまったわけです。

高橋正樹
『かぐらむら』編集室