2018年2月 96号

「神楽坂はどんな街ですか」と聞かれたら、何の街だと紹介するでしょうか。花街、石畳の街、古き良きものと新しいものが交差する街、などなど、おそらく様々な答えが返ってくるはずです。そんな中、近年この2月、3月には、神楽坂を「本の街」と謳うようなイベントがいくつか開かれるようになってきています。かつては夏目漱石をはじめとする文豪が楽しみ、今なお出版社や印刷会社、製本会社などが日々本を作り出している神楽坂。その神楽坂で、本をテーマにしたそれぞれのイベントや団体は、どんな活動をしているのでしょうか。

神楽坂 ブック倶楽部

街と街の出版社で結成されたブック倶楽部

矢来町に新潮社が移転してきたのは1913(大正2)年のことになる。それ以来、新潮社は矢来町から100年以上にわたって本を作りながら、神楽坂を眺めてきた。

2014年にはキュレーションストア la kagu (ラカグ)をオープンさせ、本に関するトークイベントなどを実施しながら、近年は出版社として街と何かできないか模索していたという。その折、神楽坂おかみさん会(神楽坂文化振興倶楽部)から声がかかり、昨年結成されたのが「神楽坂ブック倶楽部」だ。神楽坂おかみさん会らの協力の下 la kagu でのトークイベントと、知的欲求に応える新潮講座を軸としながら、神楽坂と本の魅力を伝える活動している。新潮社の編集者で神楽坂ブック倶楽部も運営する楠瀬さんは、「かつて多くの文豪が集った神楽坂から、新潮社に限らず、本や本まわりのファンを将来的に増やしていきたい」と話す。

昨年のヒトハコ古本市は、毘沙門天善國寺など神楽坂の11ヶ所のスペースで実施された。

神楽坂ブック倶楽部はこれまで、五感肆パレアナでの函入り布クロス装本をメインとした新潮社の装幀展や、神楽坂の街全体でのヒトハコ古本市、“フォントの神”と呼ばれる書体設計士・鳥海修さんによるトークショー、大人気ゲーム「文豪とアルケミスト」とのコラボ企画などを実施してきている。コアな本好きをしっかりと楽しませつつ、ゲームを入口に文学に触れる機会も提供するなど、出版社ならでは幅広い活動だ。

文豪とアルケミストとのコラボ企画では、『「文豪とアルケミスト」文学全集』の編集や特別版の新潮社文芸地図の作製、「文豪たちと新潮社」展なども実施された。

また神楽坂ブック倶楽部のサポーター会員も募集中とのことで、 la kagu のイベントチケットや新潮講座の受講料の割引など、お得な特典があるとのこと。歴史ある出版社と神楽坂の街とが手を取り合い、どんな本の文化を作っていくのか、今後も楽しみだ。

神楽坂 ブック倶楽部
神楽坂ブック倶楽部では会員を募集中です。イベントや講座の割引など特典多数。詳細はホームページをご覧ください。
http://kagubookclub.com/

主催者・運営者が選ぶ、「神楽坂で読みたい一冊」

『時間』
吉田健一=著 1998年 講談社
「秋冬なら、払方町に住んだ批評家のこの一冊。春夏なら矢来町の師匠、『志ん朝の落語』(ちくま文庫)。これ全六巻ですが、手始めは第三巻か第五巻あたりからどうぞ」

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