2017年10月 94号

前号「奥神楽坂特集」を発行して間もなく小誌を片手に、奥や裏を歩く人を何度か見かけた。中心地から奥神楽坂エリアへ足を運ぶ人が増えることによって、神楽坂全体の動きも、風通しもよくなっていく気がする。定められたエリアでエネルギーの圧力が高まるばかりでは限界がある。より奥へ広がってこそ、神楽坂全体も面白くなる。特に神楽坂の奥には、魅力的なギャラリーが増え続けている。つまり文化のつぼみがあちこちで咲きはじめた。「奥は、未来だ!」という言葉、時間が証明してくれる。

足もとから明るくしたい

ディ・ミリア

オーダーメイドシューズの工房、ディ・ミリア。職人の宮島さんは3年半イタリアの靴職人の下で修業を積み、帰国後、神楽坂の小路に工房を構えた。宮島さんの制作方法は手間と時間はかかるものの、メンテナンスをしつつ正しく履けば、一生履き続けられる靴を作り上げることができる。良質な革を使い、またミリ単位の細部にもこだわったフォルムは、古びることなく味わいを出していく。「靴を履いてパッとした気持ちで街を歩いていただいて、その周りの人たちもパッと明るくなれるような、そんな靴を作っていきます」と宮島さんは話してくれた。

工房はすこし急な坂の途中にある

住所|東京都新宿区矢来町122 1階
お問い合わせ|03-3269-3553
定休日|日曜日、月曜日
URL|http://di-miglia.jp/

これは、どう考えられますか?

eitoeiko

作品について質問をすることも大切だ

2009年4月にデビューした現代美術の企画画廊。現代美術と聞くと、難しいと感じる人が多いかもしれない。何かを考えようとしなければ楽しめないことは確かであるものの、eitoeikoは間口を広くして展示を企画しているギャラリーだと、ディレクターの癸生川さんは言う。ギャラリーとしての活動は神楽坂にとどまらず、国内のアートフェアはもちろん、海外のアートフェアにも参加している。矢来町の閑静な住宅街の途中eitoeikoの扉を開ければ、常識にとらわれない、新たな着想が得られるだろう。

住所|東京都新宿区矢来町32-2
お問い合わせ|03-6873-3830
URL|http://eitoeiko.com/

奥への入り口に文化の交差点

セッションハウス

ガーデンは展示空間にも、トーク会場にもなる

1991年、コンテンポラリーダンスの表現の場としてセッションハウスはスタートし、現在もダンス公演の企画数は年間50を越えるに至っている。1995年にはギャラリー・ガーデンも開設された。ガーデンでは形式やジャンルにとらわれず、展示はもちろん演劇やトークも実施されていて、文化的な総合スペースになっている。美術(静)とパフォーミング・アーツ(動)をテーマにしたクロッキー会も行われており、多様な表現の分野がクロスオーバーしている空間だ。セッションハウスを訪れれば、ダンスや絵画などの様々な表現が、互いに結びついているということを体感できるだろう。

地下のスタジオではダンス公演はもちろん、曜日ごとにレベルに応じたダンスレッスンも実施されている

住所|東京都新宿区矢来町158
お問い合わせ|03-3266-0461
URL|http://www.session-house.net/

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