2016年8月 87号

地ビール、地サイダー、醤油、オリーブオイルをめぐる小さな旅

神楽坂ブームで、まちの名前が全国区になってから、神楽坂土産やオリジナル商品を求める傾向が強まっています。一方、観光地的な要素も多く、全国で人気の名産品の集積地のような一面もうかがえます。神楽坂で、いま、どんな商品が話題にのぼっているのか? 普段から身近に味わっている地ビール、地サイダー、醤油、オリーブオイルの4つに焦点を絞って、編集部で体験的考察を試みました。コンセプトは、「迷える神楽坂」。大いに迷って、神楽坂でいいものと出会ってみませんか?



迷える地ビール

北の大地の天然水は奥が深い!

ひと口に地ビールといっても、誕生の裏側にはさまざまな物語があり、数々のドラマも生まれています。1994年の規制緩和によって、増え続けた地ビールブームは、最盛期に300社を超えましたが、今では約200社に。それだけに現在も生産しているのは、規模は小さいながらも実力派ばかり。

北(北海道、青森、秋田、岩手)の名産品を集め、生産者と消費者を繋ぐ北のプレミアムフード館(以下、北プレ館)が今年4月に神楽坂にオープン。約26種類の地ビール、発泡酒が勢ぞろいしました。そこで猛暑が予想される夏を前に、北プレ館での地ビールの試飲会&取材の会を企画しました。1番目の迷いは、地ビールです。

北プレ館の1、2階は地元名産品のコーナーで、3階はカフェです。そのカフェの中央には樹齢数百年の巨樹の切株のような大テーブルがで~んと据えられ、すでに地ビールや発泡酒が並べられていました。どれも、北海道、北東北の銘柄ばかりです。

最初に栓を開けたのは、奥入瀬ビール(青森県)。世界遺産となったブナの原生林を背景にもつ奥入瀬の水源の水を使用しています。ヴァツェルンとダークラガーの2タイプがあり、本場チェコ製プラントでていねいに製造しているビールです。ダークラガーをひと口含むと、香ばしさが広がりキレのいい味でした。う~ん、旨いです。

試飲会には、ご存じ神楽坂ビールを7年前に立ち上げた伊東宏祐さんも参加。北のビールと一緒に試飲しました。神楽坂ビールは、いわばご当地ビールで、中味は東北福島のビールメーカーが製造していて、そのキレとコクの良さには、皆うなづいていました。

次は、田沢湖ビール(秋田県)と大沼ビール(北海道)。どちらも大自然に恵まれた山麓の天然水を使用。北プレ館には、室内に大きなモニターがあり、いつでも北海道や北東北の旅の壮大な映像が映されているので、まるで現地の空気の中で地ビールを飲んでいるような気分にさせてくれます。紅KOMACHI(秋田県)という仙北地方産のお米、秋田こまちを厳選して使用したビールもありました。こちらは、ふくよかな味わいで、のど越しもなめらかでした。

北の大地の天然水は奥が深い!

 

試飲で参加者を一番驚かせたのが、流氷ドラフト(北海道)。これは発泡酒でビールではありませんが、注いだときの色にびっくり。色鮮やかなブルーだったのです。仕込み水には、網走の流氷を使い、色には天然色素のクチナシを用いています。

盛岡の名桜、石割桜から採取した酵母を用いて醸造した福香ビール(岩手県)には、開発者の強い願いを感じました。この酵母は、東日本大震災で被災した北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所のがれきの中の冷蔵庫から見つかったのです。福香は、復興にかけたネーミングで、売り上げの一部は、三陸漁業の復興にあてられています。

試飲会を兼ねた取材は、当初90分程度を予定していたのですが、途中から、北プレ館の社長も参加され、青森名産のりんごジュース5種類飲み比べなどの楽しい企画が次々と飛び出し、3時間におよぶ熱い試飲会は大盛会のうちに終了。次回は、ぜひ日本酒でよろしくお願いいたします。

 
 
北のプレミアムフード館
東京都新宿区神楽坂3-2-61
TEL03-5225-2566
https://www.kita-pre.jp/
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