大久保通り拡幅計画と神楽坂らしいまちづくり

NPO法人粋なまちづくり倶楽部副理事長 鈴木俊治


神楽坂上交差点で神楽坂通りと直交する大久保通り(都道 放射25号線)の拡幅事業が進められようとしています。この計画は戦災復興の一環として昭和21年に東京都によって都市計画決定されたもので、その後今日に至るまで事業化されませんでしたが、近年になって周辺地域で事業化が進められ、坂上交差点付近でも道路用地の買収が始まっています。今回の計画区間は筑土八幡町から抜弁天までで、都市計画道路としては現行幅員18メートルを30メートルに拡幅することになっています。また都の事業計画として、現在片側1車線のところを2車線とし、自転車レーンを設け、歩道幅員は6メートルとなっています。

円滑な道路交通の確保や防災性向上は必要ですが、ヒューマンスケールを保ち、神楽坂を物理的にもまた文化的にも分断しないことが重要ではないでしょうか。公開されている交通データによれば大久保通りの交通量は近年減少しており、また都心部主要道路の交通量も全体としては横ばいまたは微減傾向にあります。道路拡幅自体は、すでに用地買収が進んでいる現状ではやむを得ないことでしょうが、拡幅によって生まれる場を、従来のような自動車交通のためではなく住民や商業者、来訪者のために、地域文化の発展継承のために活用することが望まれます。それこそが、成熟した東京、神楽坂にとって、オリンピックに向けて世界からのお客様をお迎えするにもふさわしいのではないでしょうか。

そのような問題意識のもと、神楽坂まちづくり興隆会の一諮問機関として「粋な街並みづくり推進委員会(以下、委員会)」が活動しています。昨年10月から準備が始まりこれまで6回の委員会を持ち、大久保通り拡幅に対するまちづくりビジョン、地域への周知等について検討してきました。委員会のメンバーは住民、商業者、学識経験者、NPO粋なまちづくり倶楽部などです。

今年6月には「第1回 神楽坂 文化のみちづくり×まちづくりシンポジウムを開催し、問題点の整理をするとともに、望ましい対応の方向性について住民の皆さんからお話いただきました。要約すると次のような意見がありました。



【ハード面】
・車道は片側2車線は不要、拡幅部分は歩行者のために使用したい。
・商店街のにぎわいが断絶しないようにしたい。
・拡幅に伴う建物撤去によって大型ビルの単調な側面が道路に露出しないよう、デザイン配慮が必要。
・高齢者や子どもたちでも横断しやすい道とし、生活の安全を守りたい。(車道を広げない)
・子どもたちにとって、ふるさととなるような空間づくりをしたい。

【ソフト面】
・歩道の利用を工夫し、地域のイベントなどにも使えるようにする。坂上~坂下が一体となった神楽坂エリア全体に貢献できるような使い方がよい。
・周辺地域も含めた回遊性づくり、周辺商店会との連携を図る。
・できれば立ち退く人に神楽坂で代替地を提供し、店の存続を図ってほしい。
・町会の住民が多く減ってしまうことになり、まちの存続が危惧され、対策が必要。
・地元は情熱を持って関係機関と話合い、あらゆる所で声を上げ、神楽坂らしいまちづくりを進めていく必要がある。



以上の経緯やご意見を踏まえ、委員会+NPO粋なまちづくり倶楽部では、10月4日(日)午後2時から5時まで、理科大森戸記念館にて第2回シンポジウムを開催します。これまでのご意見を踏まえた方向性の提案とともに、住民の皆さんのご意見を伺います。また引き続き行う懇親会では学生によるいくつかのアイディアを展示します。参加無料、途中入退場自由です。神楽坂に住み働く皆さんにとって大切なことですので、ぜひご参加ください。

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