第81号(平成27年8・9月号)

あさがほ市とほおずき市。二ツそろって江戸の夏の風物詩にあげられる。あさがほは早朝に開花し、一日咲き切ることもなく露のかわきと共に早、しぼんでしまう。「その主と栖と無常を争うさま、いはば朝顔の露に異ならず」と方丈記の冒頭にあるように、夏の朝のすずやかな数時間しか見てたのしむことができない。そのはかなさが尚涼しさを感じさせるのかとも思う。


朝顔や一輪深き淵のいろ    蕪村

など美しい。 ほおずきは酸漿と書く。鬼灯とも。古くは「あかかがち」と呼称されたとある。


鬼灯は実も葉もからも紅葉哉  芭蕉

鬼灯は取ってつぶすや背中の子 一茶


昔は現代よりずっと深く人々のあそび道具になっていたほおずきなのだ。東京では、江戸時代からほおずきやあさがほを売る市が立ち、今に伝えられている。


参考資料:「王朝文化辞典」(朝倉書店)